メッセージ

かつて日本の各地には、こどもの育つ場がたくさんありました。
近所のおばちゃんおじちゃん、おばあちゃんおじいちゃん、黙っていても集まってくるこどもたち。
こどもだけの社会。
そして、森や川、原っぱなどの自然。
神社やお稲荷さん、八幡様、狭い路地。駄菓子屋などのお店、商店街。
たっぷりの時間、たくさんの遊び空間、そして異年齢、同年齢の仲間。

「時間・空間・仲間」というこどもの育つ場がどんどん失われていくことに危機感を覚えた私たちは、この20年、遊び場(プレーパーク)を作り、「時間・空間・仲間」をこどもたちに返していく活動を続けてきました。

10数年が過ぎ、もう一度こどもの育つ環境を見渡した時、たっぷりの時間、たくさんの遊び空間、そして異年齢、同年齢の仲間というこどもが遊んで育つための大事な三つの間が、ますます少なくなっていることに気付きました。こどもが遊んで育つことが大事にされていないのです。こどもは遊んで育つのに。

特に幼児から10歳くらいまでの間は、勉強よりも遊ぶことの方が大切といっても過言ではありません。人は誰でも育つ力を持って生まれてきます。育つ力を持って生まれてきたこどもは、教えられるよりも自ら遊んで学ぶのです。
そこで、私たちはプレーパークと同時に、こどもが遊んで育つ場としてのチルドレンズ・ミュージアムを作ろうと思いました。団体を法人化し、誰でも参加できるように参加費を無料にする努力をしてきました。いつか行政の助けを借りて施設を作ろうと決め、働きかけてきたのです。

しかし、行政の力を借りることができないまま、数年が過ぎ、行政の力を頼るのは間違いだと気付いたのです。そこで、自らマーケティングを学び、会社組織と同じように利益をあげて経営していく道を探り始めました。道筋が見えてきたところで、施設名と団体名を一致させるため法人の名称を「天城こどもネットワーク」から「伊豆こどもミュージアム」に変更したのです。

今、森に集うこどもたちを見ていると、遊んで育つ場はここにあるではないかと思えます。時間(ゆったりまる一日)、空間(森の中)、仲間(定期的に集うこどもたち)。
「こどもたちが夢中になって仲間と遊んでいる姿」を見ることができます。
森がまるごとプレーパークを含んだチルドレンズ・ミュージアムであることに気付きます。

そこで、森が持つこどもを育てる力と こどもが自ら育とうとする力を信じて、「天城遊々の森」の中に、「こどもは遊んで育つ」の実践の場「伊豆こどもミュージアム」を作ることに決めました。まずはここをこどもの笑顔あふれる場にしたいと思います。

ご一緒に「伊豆こどもミュージアム」を創りませんか?

NPO法人伊豆こどもミュージアム理事長 田所雅子